海運豆辞典

灯台のいろいろ

船が安全に航海するのを助けるため、海岸や岬などで火をたいたり、のろしを上げて合図を送ることは古くからおこなわれていました。紀元前7世紀に、ナイル川河口の寺院の塔で火がたかれたのが、最初の灯台とされています。アレキサンドリアのファロス灯台は紀元前261年から19年かけて建てられました。高さが150mもあり、50km先からあかりが見えたといわれていますが、8世紀に地震でこわれてしまいました。日本の記録では、839年に遣唐使船が日本へ帰ってくる時の目じるしとして、九州各地の岬などでかがり火をたいたと『続日本後紀』に書かれています。

現在の日本の灯台の数は3,300あまりですが、そのうちもっとも古いものは1869年(明治2年)、はじめての西洋式灯台としてフランス人技術者の設計で造られた観音埼灯台です。三浦半島にあり、現在もつかわれています。また、日本一強い光を出す灯台は千葉県の犬吠埼灯台、高知県の足摺岬灯台などが200万カンデラの光を放ちます。カンデラとは光源をレンズで拡大した後の光の強さの単位です。もっとも光が遠くまで届く灯台は、兵庫県の日本海側にある余部埼灯台で、光達距離はおよそ73kmにもなります。また、光を出すだけでなく、音や電波で船の安全を守る灯台もあります。

海運豆知識 第75回「灯台のいろいろ」

(公財)日本海事広報協会ホームページ「海と船なるほど豆辞典」から引用