海運豆辞典

錨(いかり)のいろいろ

船を安全にとめておくには錨が必要です。錨の歴史は古く、地中海で紀元前2000年ごろつかわれていたと考えられる、石とロープでつくられた錨が発見されています。また、ギリシャでは紀元前500年ごろに、石と木でつくられた錨がつかわれていました。船が大きくなると爪で海底をかくことが必要となり、紀元前にはすでに鉄の錨ができました。

 19世紀までつかわれていた錨は、ストックアンカーと呼ばれる形のものでした。ストックと呼ぶ棒を爪と直角方向にとおして、錨の爪が海底にしっかりと突きささるようにしたものです。19世紀に入って蒸気船が出現すると、ストックレスアンカーと呼ばれる錨が登場しました。これは錨の爪の部分と軸の部分が、ピンでつながって動くようになっています。現代のほとんどの船はこのストックレスアンカーをつかっていて、さまざまな改良が重ねられてきましたが、小型船でも数十万tの大型タンカーでも、しくみは同じです。

 錨の大きさは船によってちがいます。ちなみに日本でいちばん大きな船だった日精丸(48万4,276重量t)の錨は重量が30tもありました。またアンカーチェーン(錨鎖)は385mもあり、これだけでもたいへんな重さです。錨の重さにアンカーチェーンの重さも加わって、船をとめておく大きな力になります。

錨(いかり)のいろいろ

(財)日本海事広報協会ホームページ「海と船なるほど豆辞典」から引用