海上職
MEIWA KAIUN GROUP
明和タンカー
菅野 勝男
興和丸 船長
明和タンカー株式会社
Interview 1
どんな仕事をしているのですか?
船長代理として、船の仕事全般を管理しています。
今、52歳なのですが、48歳頃から船長代理を任されるようになりました。初めて執職船長となった時、最初から一人で荷役着桟するように言われ、とても緊張したのを覚えています。離着桟時は、艏と艫にいる乗組員とのやりとりがとても大事です。普段から船内の和を大切にすることで、着桟操船もスムーズに行うことができるようになりました。
出身は岩手県陸前高田市で、祖父と父は漁船の船乗りでしたので、私も学校を卒業すると、何の迷いもなく漁船に乗りました。その後、一旦、丘に上がって色々な仕事をしました。タクシーやトラックの運転手もしましたし、大工の見習いや港湾荷役の仕事もしました。その後、やはり海技免状を持っているので、海に戻り、白油タンカーに乗ることにしました。5年ほど経ってから、また丘に上がり、1年ほど義理の兄のところで大工の見習いをしていたのですが、知り合いからケミカルタンカーに誘われ、乗ることとなり、現在に至り7年が経過しています。
色々な仕事をしてきたことで、様々な人々と出会い、人との付き合い方を学んできました。そういう経験が今の仕事にも生かされていると思います。人との付き合いを大事にしないと、結局、仕事にも影響します。船は生活の一部でもあるので、特に船内コミュニケーションが大事です。自分が船内をまとめているという訳ではなく、周りもいい人達が一か所に集まってくれて、和になる。お互い言いやすい仲間であって、それが仕事に反映されて、私生活にも影響する。興和丸の乗組員は、それができていると思います。
Interview 2
仕事への思い・やりがい・志について教えてください
ケミカル船に乗るようになって、色々な石油化学製品があり、それがどのような過程を経て製品化され、私たちのもとに届けられているかを知りました。ケミカル船の船員として、私たちが石油化学製品を運ぶことで、人々の生活に役に立っているんだということを自負しています。
このクラス(500GT)の船は、航海当直や荷役にしろ、一人ですることが多く、大きな船と比較すると一人当たりの仕事の範囲が広いため、船員としてのレベルが高くないと務まりません。
また、荷役作業を例にとっても、準備から片付けまで、みんなで協力し合って行います。一人一人が別々にやると作業がスムーズに進みません。
「自分から気付いて作業ができる」ことは、ケミカル船員に求められる資質だと思います。
最近は、若い人達が部員として入ってきていますが、「上に立つ者が先にやらないと下はついてこない」ということを意識して仕事をしています。船は自分の家のようなものです。綺麗な家に住みたいと思うのと同じで、船もいつも綺麗な状態を保つことを心掛けています。手先が器用な訳ではないのですが、大雑把ながらやることはキチンとしたいと思っています。
また、人の和を保つ上で、相手の立場になって考えることを心掛けています。こういうことを言われたら、自分も嫌だろうなとか、相手を自分に置き換えて話をするようにしています。皆が言いたい放題のことを言ってしまったら、まとまることもまとまらなくなります。
休みのときに皆と楽しい話をしたり、普段から人の和を大切にすることを何よりも一番に心掛けています。
Interview 3
プライベートはどんなことをしていますか?
自宅は、父、母と私の3人暮らしです。休みの日は、80歳過ぎの父と船に乗って、小魚を釣り、小漁師をしています。
今でも父は小さい船ながら漁師をしています。0.9トンクラスの船で、父と二人で小魚の刺網漁をしています。早朝2~3時に船を出し、網を上げに行き、帰ってきて寝る。再び、夕方に船で網を刺しに行き、帰ってきて寝て、早朝に船を出す、その繰り返しです。父が行かない時は、私一人で行くこともあります。獲った魚は、生かしておき、まとまったら市場に持って行きます。趣味は釣りとかではなく、漁になってしまっています。魚を獲るのが楽しいのです。
なので、休暇中はそんなに暇ではありませんし、まとまって休みを取ることもあまりありません。悪天候や時化の時は、パチンコに行ったり、たまに車で温泉に行くこともあります。あえて、魚を獲ること以外で趣味を上げるとすると、車は好きです。今まで10台以上買い替えています。遠乗りも好きなので、最大14万キロ乗った車もあります。こだわりは外見で、セダンタイプではくハッチバック系が好みです。内装には凝るほうです。今乗っているのは、ホンダのオデッセイで、今までで一番のお気に入りです。7人乗りですが、ほとんど一人で遠乗りして、車の中に宿泊します。ちょっとしたキャンピングカーです。山に行くことが多いのですが、山に行くと海がいいと思います。やはり、根っからの船乗りなんですね。