明和徒然日記
第33回 ホルムズ海峡封鎖とケミカルタンカーの役割
昨年より新卒船員採用関連業務も兼務している。
各地の海技者セミナーや海運関係の学校を訪問しての説明会などで学生に会社説明をする機会があるのだが、そこではタンカーをはじめ貨物船やRORO船、タグボートもあればフェリー、珍しいところでは水上警察や各種調査船など様々な船種の会社や団体がブースを設けて説明をしている。
「自分は〇〇船に乗るんだ」と決めている学生もいるが、「まだ具体的に決めていないので、まずはいろいろな話を聞きたい」という学生も多い。
殆どの学生はタンカーに関しては何となくイメージも知識も持っているが残念ながら当社のような石油化学製品を運ぶケミカルタンカーに関してはあまり知られていないのが実情である。
灯油やガソリンを運ぶ白油タンカー、重油を運ぶ黒油タンカーなどは輸送する貨物が決まっていて、且つその貨物が燃料というわかりやすい製品なのでイメージし易い。
ところがケミカル製品は何千、何百と種類があって当社だけでも60から70種類ほどのケミカル製品の海上輸送をしている。
更にAというケミカル製品とBというケミカル製品からCというケミカル製品が作られ、それが最終的に身の回りのどの製品になるのかなどとは一般的には殆ど知られていないのでケミカルタンカーの役割は非常にイメージしにくい。
ところがホルムズ海峡封鎖の影響で原油はもちろんだがナフサの輸入量が激減したために身の回りのいろいろな製品の生産が滞っていると一時期は連日のようにニュースで取り上げられていた。
「塗料不足のためお菓子の袋がカラーからモノクロになった」「発泡スチロールやラップの不足のため惣菜の包装が食品トレーから紙袋に変わった」「合成樹脂不足のため浴槽の受注が停止した」等々であり、これらはナフサ不足によるものだと盛んに報じられた。
もちろんこれらの製品がナフサから直接作られているわけではなく、ナフサ由来の様々な中間ケミカル製品を経て最終的な製品が製造されるのであり、これらの中間製品を石油化学工場から石油化学工場へ輸送するのがケミカルタンカーの役割であるという事は以前よりは多少理解されやすくなった感がある。
蛇足だが小生が以前連載していた「石油化学製品のイロハ」のヒット数が3月以降「ナフサ」(石油化学製品のご先祖様)を筆頭に急増したのには驚いた。
ホルムズ海峡封鎖による我が国への影響は甚大だ。
しかし我々のようなケミカルタンカー運航会社が身近な製品の製造に陰ながら貢献している事に対して少しはご理解を頂きやすくなったことは怪我の功名であった。
筆者 佐藤兼好

塗料不足のためカラー印刷からモノクロ印刷になったポテトチップスの袋















