明和徒然日記

第22回 ゴルフと鷹狩りとサラリーマンと戦国武将

小生自身は最近めっきり回数が減ってしまったのだが、日本のサラリーマン、とりわけ海運会社の社員はお客様や同業者の方とのゴルフのお付き合いが多いと思う。
思い返せば十数年前、小生が明和海運の中途採用の最終面接を受けた際にも「ところで、あなたはゴルフをしますか?」と質問されたほどだ。
もともと下手な上に前の会社ではクラブやシューズにカビが生えるほど何年ものブランクがあったので返答に困ったが「下手ですが頑張ります!」と答えて何とかその場を乗り切った。

そうやって無事に採用されたのだが、当然ながら最初のうちは右へ左へとボールが乱れ飛び、一緒にラウンドするお客様や上司に迷惑をかけないように打ってはクラブを数本持って林へ走り、打っては崖を駆け下りての連続でフェアウェイの真ん中を優雅に歩くなど夢のまた夢だった。

それでも何年かすると下手ながらもボールが曲がらずに飛ぶことが徐々に増えていき同組のお客様や上司と談笑しながらラウンドできるようになった。 その頃になってやっと実感できるようになったのだが昼食を挟んで6時間近く一緒にグリーンを歩き、終わった後は一緒にお風呂に入り、更に食事をしてお酒を飲んで帰るとなるとほぼ一日中行動を共にすることになり自然と仲間意識が醸成されるのだ。

テレビの時代劇などでは戦国大名が有能な家臣や味方に取り込もうと目論む他国の武将などを鷹狩りに誘うシーンを見ることがある。
織田信長のような強大な権力者に誘われた武将が恐る恐る同行するシーンなどは取引先のエライ人や会社の上司にゴルフに誘われて恐縮しながら参加するサラリーマンを見ているようで親近感が湧いてしまう。

そうなのだ。
一日中、野山で矢を射るのもゴルフ場でボールを打つのも獲物やピンを狙うという同じ目標に向かって進んでいくという点で共通しており、そうやって共通の目標を持つことにより連帯意識が生まれて絆が強まり、それが大きな目的を達成する一助となるのだ。

という訳なので世の奥様方、週末に家族サービスもしないで早朝からいそいそとゴルフに出かけるご主人は、お家を守るため鷹狩りに向かう戦国武将だと思ってどうぞ温かく送り出してあげて下さい。

筆者 佐藤兼好

お客様と鷹狩り?(右端が筆者)

お客様と鷹狩り?(右端が筆者)