明和徒然日記
第17回 マイナ免許証
運転免許証の更新のお知らせが届いた。
20歳の夏に府中の運転免許試験場で初めて自分の免許証を手にした時の感動が蘇る。
あれから何回目の更新だろう。
もう自分でも分からないほど更新を重ねてきた。
5年ごとに自分の顔の変化を客観的に見せつけられて「目じりに皺が増えたな。」とか「顔が少し丸くなったな。」などと反省させられる機会でもあった。
ところが今回からはマイナンバーカードに運転免許データを取り込むことによって別途、運転免許証を持つ必要が無いマイナ免許証が選べる事になったという。
もちろん希望すれば従来通りの運転免許証も交付できるらしいが、マイナ免許証の方が更新手数料は安く設定されている一方で従来の運転免許証の更新手数料は以前よりも値上がりしており、マイナ免許証への移行を促進しているように思われる。
更にマイナ免許証になると更新時の講習がパソコンで受講できたり住所変更が一度で済むなどと、まさにお得で便利になるのだが、その一方で心配な面もある。
「今まではいろいろな場面で運転免許証を身分証明書代わりに提示して来たが、重要なマイナンバーが記載されているカードを気安く提示しても大丈夫なのだろうか?」
「せっかく長年維持してきたゴールド免許なのに見た目では分からなくなるのか?」
「マイナンバーカードの期限と運転免許証の期限が違っていると、ややこしいことにならないか?」
などなど、年齢のせいか新しいものに直ぐに飛び付かずに様子見をした方が良いかもしれないなどと思ってしまう。
私の心配事はさておき、船の世界でも最近は技術の進歩により船舶の様々な装備もデジタル化によるバージョンアップがなされている。
紙の海図からECDIS(電子海図情報表示装置)への変更、テレビやラジオでの天候情報の入手からタブレットで情報を入手する船舶用気象情報サービスの導入、手書きの各種報告書からパソコン入力の報告書への転換など昔から比べると格段に利便性が向上して来た。
しかし、年配の船員たちはタブレットやスマホでさえ使いこなすのに一苦労な一方で、むしろ経験の浅い若手船員の方がすんなりと抵抗なく受け入れているようだ。
「海運も経験と勘と度胸で乗りこなす時代から、デジタルデータを活用した運航の時代に変わりつつあるのだ。」
などと偉そうに思ってはいるものの、まだマイナ免許証と従来の免許証とどちらにしようか決めかねている私である。
筆者 佐藤兼好

ECDIS(電子海図情報表示装置)