明和徒然日記

第1回 海が好き

「海が好き!」と言うのはなにも小麦色のギャルだけの専権事項ではない。
おじさんだって好き。
かく言う私も好き。
休日などは自宅の近くの臨海緑地に海を眺めに行く事もある(東京湾だが)。
何も考えずにボーッと海を見ているだけで心が浄化されていく気がする。

なぜだろう。
この体を構成している細胞の一つ一つのDNAが母なる海の記憶を有しているからか?
波の音がアルファ波として脳にリラクゼーション効果をもたらすからなのか?
いやいや、小難しい理屈は抜きにして、ただ好きなのである。

しかし海は優しく美しいだけではない。
夜の海は真っ黒で恐ろしい。
じっと見ているとなんだか得体のしれないものに吸い込まれてしまいそうな気がしてくる。
荒れた海も恐ろしい。
以前住んでいたことのある日本海側の海は冬になると轟轟と海鳴りのする一面鉛色の荒れ狂った世界になる。
人間などあっという間に飲み込まれてしまいそうな迫力だ。

そんな海の上で船乗りたちは生きている。
一年中、四六時中、職場であると同時に生活の場でもある船の中で。
どんなに造船技術が進歩して航行の安全性が向上しても、WIFIが繋がって船室では快適なインターネット環境が整備されても「板子一枚下は地獄」であることには変わらない。

「海が好き!」だけでは到底務まらない厳しい環境の中で船乗りたちは今日も頑張ってくれている。
そのおかげで私たちは当たり前のように便利な日常生活を享受することが出来ている。
台風接近のニュースを見ながらそんなことを考えた。

杉田臨海緑地1

写真:神奈川県横浜市 杉田臨海緑地

(筆者:営業部 佐藤兼好)