明和海運株式会社

60th anniversary

海運豆知識

第139回

人類の歴史と船

船は、人類の歴史とともに発達し、荷物とともに文化を運びました。船があったから人類の文明が発達したとも言えます。鉄道、自動車、飛行機などの輸送システムは、長い人類の歴史からすればつい昨日現れたようなものです。
水上交通はいつ頃からあったのでしょうか?遡ると石器時代からと言われております。伊豆半島のひとつ、神津島は本州の伊豆半島から 40km以上離れています。この島からは、黒曜石という石器を作るのに重要な材料が採れます。
約3万5千年前の旧石器時代といえば、まだ地球上にマンモスが生息していたころですが、本州で見つかったこの時代の遺跡から、なんと神津島産の黒曜石が発見。海流が複雑に流れている本州と神津島の間を40kmも泳いで渡るのは不可能で、仮にその時代の海面が今よりも低く、海峡の距離が現在より相当に短かったとしても不可能に近いと考えられます。
このことからも3万5千年前から水上交通の手段が存在したと推測できます。そのころの船がどのようなものであったかは想像するしかありませんが、これは世界でも古い航海の証拠のひとつと言えます。
もっとも川や湖などの短距離であれば、古代より何らかの水上交通手段が使われていたとしても不思議ではなく、例えばピラミッドの石はナイル川を船で運んでおり、また、大阪城に使用される巨大な石垣も瀬戸内海を船で運んだそうです。飛行機や鉄道、自動車が存在しなかった時代に、人類が文明を築き上げられた理由のひとつに、船という輸送機関の存在が挙げられ、このことからも船は、有史以前から現在に至るまで、世界の物資や人の輸送の最も重要な担い手であったといえます。
近い将来、石油が枯渇することは確実で、そうなった時に、どのようなエネルギーが使われるようになるか、そしてどんな形の輸送機関が存在しているのか予想は困難であります。しかし、コンパクトなエンジンが作れないような状況になったとしても、帆(ほ)によって自然エネルギー(風)だけで動かすことができる船は、間違いなく生き残っているはずで、こんな環境に優しくて重要な輸送システムは、他にないといってもいいでしょう。

【神津島と伊豆半島の位置関係】
神津島と伊豆半島の位置関係
【黒曜石】(写真はアメリカ産)
黒曜石