明和海運株式会社

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海運豆知識

第134回

船舶法について

1.意義
船舶法は、日本船舶として海事行政法の保護や取締りのため、1899 年(明治32年)に制定され、その後改正を重ねて現在に至っています。
また、当法は日本船舶の要件を明らかにし、船舶の総トン数など船舶の個性を識別するために必要な事項の登録と船舶国籍証書について規定するとともに、船舶の航行に関する行政上の取締を定めた船舶に関する基本的なことがらを規定しています。
この他に、船舶に関する日本船舶の国籍取得の要件を定めているため、国際法上の意義も見逃すことができません。具体的には、日本船舶の範囲、国旗掲揚の制限、不開港場寄港地制限、船籍港、総トン数測度、船舶国籍証書などに関して定められています。

2.船舶の意義
船舶法において、船舶の定義は定められておらず、社会通念上の船舶を指すものと解されています。船舶とは、水上に浮揚して、人や貨物を積載できる構造を持ち、水上を 移動することができる構造物といえます。建造中の船舶については、航行能力を有して いないため船舶ではなく、進水式を限度とし船舶として取り扱われます。

3.船舶の国籍
船舶は、国際法上、固有の国籍を持っています。各国の国籍付与の方針は、船舶所有者などが一定比率以上自国民であることを要件とする所有者主義、船長その他乗組員が一定比率以上自国民であることを要件とする乗組員主義、自国での船舶の建造を要件とする製造地主義、さらに一定の登録税を納める限り、自由に登録を認め国籍を付与する 便宜置籍の制度をとる国もあります。

4.日本船舶
日本船舶の要件は、船舶所有者が日本国籍を有する自然人または法人で、具体的には次の船舶を日本船舶といいます。
① 日本の官庁(国の機関)または公署(地方公共団体の機関)の所有する船舶
② 日本国民の所有する船舶
③ 日本の会社法により設立した会社で、代表の全員及び業務執行役員の3分の2以上が日本国民の船舶(この要件については、日本企業でも外国人が経営に参画することが多くなってきたことから、平成11年の一部改正により要件が緩和された。)
④ 上記3.以外の法人で代表者の全員が日本国民の船舶 ただし、日本船舶であっても次の船舶は、船舶法の適用が除外されています。
① 総トン数20トン未満の船舶
② 海上自衛隊の船舶

5.日本船舶の権利と義務
権利としては、日本国旗掲揚権、日本不開港への寄港権(外国との通商を許されていない港に寄港することの出来る権利)があります。義務としては船籍港を定める義務、総トン数の測度申請義務、船舶登録簿に登記する義務、船舶原簿の登録する義務、船舶国籍証書の検認を受ける義務、日本国旗の掲揚義務、船舶の名称などの表示義務があります。

6.船舶国籍証書
船舶国籍証書は、日本の国籍を有すること及び当該船舶の個性や同一性を証明書する公文書であり、船舶の新規登録が完了した際に、船籍港を管轄する管海官庁から船舶所 有者に交付されます。船舶の航行にあたり、日本国の国籍証明のため重要な書籍であり ので、船長はこれを船内に備え置くことが義務付けられています。