明和海運株式会社

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海運豆知識

第117回

波浪外力が操船に及ぼす影響

強風が吹きつのると海上は波が発達し荒天となります。強風と激浪は船にとって大敵であり、ことに、波は退席1立方メートルあたり1トン以上の重量があり、それが船体に 勢いよくぶつかるのであるから危険であり、操船者は、このような波の衝撃影響を避けるため、速度を落とすなどして万全を尽くさなければなりません。
船が小型になるほど波から受ける影響は大きく、最悪の場合、船体破損、海水侵入、転覆などをひきおこす。波浪中ではローリングピッチング、ヒービング、ヨーイングなど 船体動揺が激しくなり、動揺が激しくなるとプロペラの空転(Racing)などにより主機の運転に支障をきたします。船首から波を受けるとピッチング、ヒービングが激しくなり、船首が波に突っ込んだり水面に船底を打ち付けたりします。船尾から波を受けると海水が船尾から打ち込んだり、追い波の衝撃により舵が損傷したりする。波を横方向から受けるとローリングが大きくなり、海水を掬ったりして転覆の危険が生じます。そのため、波浪外力下では、いかに波から受ける力を和らげ、いかに船体動揺を減らすかといった対応が操船者に問われます。以下に船体が波浪中における特有の危険な現象を記載します。

(1)パンチング(Panting)
波に向かって進む時、船首側面に波頭がぶつかって衝撃を与える現象のことをいい、小型軽量の船ではこの衝撃によって船体が波に運ばれるようなことも起こり得ます。

(2)スラミング(Slamming)
うねりの中を航走するとき、船首が大きく空中に持ち上げられた後、次の瞬間、船首部船底が激しく打ち付けられる現象をいい、波に向かって進む時に起りやすく、船底 に作用する強大な水圧力によって船体損傷を引き起こします。

(3)ブローチング(Broacing)
うねりを船尾から受けて進む時、船が波の傾斜前面に位置したとき、突然方向不安定な状態となってヨーイングを起こし、一気に大きく回頭し、船体が波の谷間に横たわる現象をいい、これは波速と船速がほぼ等しいときに起りやすくブローチングを起こしたときに船体が傾斜しこれに横波を受けたりすると転覆の危険が生じます。

(4)プープダウン(Poop down)
追い波の状態で航走中、波が覆い被さるように船尾に海水が打ち込むことがあります。船尾部は凌波性(波浪中に航走できる性能)に劣るので船尾の構造物や舵などの装備が破壊されるといった危険を伴います。

(5)ピッチポーリング(Pitch poling)
船舶が船首正面の急峻な波を航走した後、傾斜する波の背面を加速して下る際に、波浪により迫る次の波に船首が勢いよく突っ込んだ弾みでとんぼ返りする現象をいいます。