明和海運株式会社

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海運豆知識

第7回

来島海峡の潮流の流向によって航行する航法「順中逆西(じゅんちゅうぎゃくせい)」って何?

来島海峡は、瀬戸内海中部、愛媛県今治市とその沖の大島との間を隔て、水域においては西の斎灘(いつきなだ)と東の燧灘(ひうちなだ)とを隔てる海峡で、1日約700隻の船舶が航行しています。その中には島々が散在しているため、船舶が通航する水路は非常に狭く、かつ屈曲したものになっており、潮流が非常に早く、時には10ノット(時速18km)を超え、鳴門海峡、関門海峡とともに日本三大強潮流として知られています。
来島海峡には、海上交通安全法によって航路が定められており、船舶が潮流に乗って航行する場合(順潮の場合)は中水道を、潮流に逆らって航行する場合(逆潮の場合)は西水道を航行することとなっています。
これは、順潮の場合は舵の効きが悪くなり操船が難しくなるため、屈曲が小さくて水道の長さが短い中水道を通り、逆潮の場合は潮流に逆らって航行することで舵効きが良くなるため、大きく屈曲した西水道を通るようにしたものです。この航法は「順中逆西」と呼ばれ、海上交通ルールでは右側航行が基本である中、世界的にも珍しく、日本で唯一の航法となっています。

来島海峡の潮流の流向によって航行する航法「順中逆西(じゅんちゅうぎゃくせい)」って何?

来島海峡の潮流の流向によって航行する航法「順中逆西(じゅんちゅうぎゃくせい)」って何?

1.潮流が南流時 左側航行
[東航船]
中水道を経由。航路の入り口から出口まで、出来る限り大島、大下島側に近寄って航行。
[西航船]
西水道を経由。航路の入り口から出口まで、出来る限り四国側に近寄って航行。

2.潮流が北流時 右側航行
[西航船]
中水道を経由。航路の入り口から出口まで、出来る限り大島、大下島側に近寄って航行。
[東航船]
西水道を経由。航路の入り口から出口まで、出来る限り四国側に近寄って航行。