日本の船には特別の小型船をのぞいて、その末尾に「丸」の字を付ける習慣があります。 これは、多年の習慣によるもので、別に強制されるものではありませんが、かつては船舶法の取り扱い手続きに「船舶の名称にはなるべくその末尾に丸の字を付せしむべし」とありました。(平成13年の訓令改正で同条項は削除・廃止)。
では、なぜ船名に「丸」を付けるようになったのでしょうか。「丸」のつく船名の起源は古く、記録としては、1187年仁和寺の古文書に現れた「坂東丸」が最初といわれていますが、語源やいわれについてはその他にもいろいろな諸説があります。
いずれが正しいかは定かではありませんが、江戸時代にはほとんどすべての船に付けられるようになりました。船名の付け方は、はじめ船の形態に従ってつけられ、その後建造地、建造者の名称を用い、さらに家名、屋号、寺社名その他に及んでいますが、今では地名が最も多く、人名も多く用いられます。 地名には、国、都市、山、海、川、港湾、その他があり、人名には、英雄、偉人またはその船の関係者の名などが用いられています。