海上職

MEIWA KAIUN GROUP

明和タンカー

砂田 康男

明桜丸 船長
明和タンカー株式会社

Interview 1

どんな仕事をしているのですか?
どんな仕事をしているのですか?

現在、2017年5月に竣工したケミカルタンカー「明桜丸」の船長として乗船しています。

本船は、油タンカー 兼 引火性液体物質ばら積船 兼 液体化学薬品ばら積船です。

私は、36歳の時、白油タンカーの一等航海士になった後、41歳でケミカルタンカーに移り、44歳で船長になりました。白油タンカーでは灯油、軽油、レギュラー/ハイオクガソリンを運んでいましたが、ケミカルタンカーはそれに加えて石油化学製品と重油なども運び、輸送可能品目が多いのが特徴です。

船長の仕事は多岐に渡ります。航海当直に加えて離着桟時は船長が乗組員全員に指示を出しながら操船します。その他では、航海計画の作成、タンククリーニング等の各種手当の計算や乗下船交通費の精算といった会社提出書類の作成、船用金の管理、及び船内記録簿や有休休暇等の船員管理を行っています。また、会社との荷役や次の揚げ積み地の連絡、そして代理店との連絡は全て船長が行います。

船員の育成も大事な仕事です。最近では、新人・若年船員と後進の育成に力を入れています。次のステップに向けた経験を積極的に積ませるようにしています。危険な時は交代しますし、最終的には全て私が責任を持つので、遠慮せずにやりなさいと言っています。

私も今まで、何かあった時は、一等航海士であれば船長、二等航海士であれば一等航海士といった一つ上の職位の仕事ができる位の気持ちを持って仕事をしてきたので、皆にも同じことを言って聞かせています。

Interview 2

仕事への思い・やりがい等について教えてください。
仕事への思い・やりがい等について教えてください。

ケミカルタンカーは、危険物を運んでおり、何かあれば大きな事故につながりますから、荷物を積んでいる時は朝から晩まで気を遣います。当直時、体調が悪かったり、眠気がある時は、すぐに言うように皆にはうるさいほど注意しています。事故を起こしてからでは遅いので、そういう時はすぐに交代します。やはり、乗組員全員の命を預かっており、その家族の生活もかかっている訳ですから、ここはやかましいくらい言っています。船の安全を守るため、船員の体調管理には、とても気を遣っています。

私が心掛けているのは、毎日、普通にやることが一番大事だし大変だということです。日々、同じということは絶対にありません。雨が降る日、風が強い日、時化る日もあります。慣れることなく、毎日違うはずだという緊張感を持って、決められたこと、自分がすべきことを、毎日、普通に同じことをやりなさいと伝えています。

このクラスの船は、乗組員が5~8名しかいないので、全て皆で一緒に業務を遂行することになります。チームワークがとても大事です。ですから、皆には私のことを船長だからと言って特別扱いせず、一緒に仕事をするように言っています。私が先に動き、自分の姿を見せて、模範を示すことで、周りも率先して動いてくれるようになっています。

また、周りからは船の状態で、どんな船員が乗船しているか見られているので、常に船はキレイにするように心掛けています。ドックのタイミング等を考慮して、きちんと計画を立てて、毎日、職制に関係なく細かく役割を決めて船の整備を行っています。

やりがいを一番感じるのは、若手や後輩たちを育成して、その成長していく姿を見ることです。うるさいと思われているかもしれませんが、向上心があり、自ら進んで動き、積極的に学ぼうとする姿勢を向けられると嬉しいものです。

Interview 3

プライベートはどんなことをして過ごしていますか?
プライベートはどんなことをして過ごしていますか?

下船して休暇になると、妻と一緒に岩手にいる息子と仙台にいる娘に会いに行きます。帰りは温泉に行って宿泊などして、旅行も兼ねた下船休暇時の定番になっています。

息子と娘2人は成人して大きくなりましたが、子供が小さい頃、私は漁船に乗っていたので、乗船すると1年も会えないこともあり、子供の運動会は1回しか行ったことがありません。息子が小学1年生の時の運動会で、一緒に玉転がしをした思い出があります。娘の運動会には行けませんでした。漁船からタンカーに移り、家族と一緒にいれる時間も増えました。今では、下船時に妻と子供の家に行き、家族仲良く一緒に食事をして、帰りに旅行も兼ねて温泉などに行くのが楽しみです。

妻は普段から出掛けるのが好きで、友人たちと一緒に車で色々な所に行っているようです。私よりも車の運転が上手く、長い時間運転しても大丈夫。私が車の運転中、妻からは、よく方向音痴だと叱られます。

妻は中学・高校の一つ下の後輩で、私が25歳の時に結婚しました。それから30年、不思議なもので、今でも妻への気持ちは変わっていません。妻の方は、変わってしまったかもしれませんが。。。

仕事柄、家を留守にすることが多く、一人で寂しいこともあったと思いますが、子供もしっかり育ち、家族を守ってくれたことに、妻にはとても感謝しています。

昔は、乗船中、早く帰ってきてと言われたこともありましたが、今ではもう下船なのと言われる始末で、もっと乗っててもよいと言われることも。。。 自宅にいる時は、妻の生活パターンを壊さないよう、毎日晩酌をして自分のペースでゆっくり過ごしています。