明和海運株式会社

60th anniversary

海運豆知識

第97回

国際海洋法条約

人類のコモンズ(共有物)である海を誰もが自由に利用すべきとする考えは昔からありました。古代ローマ時代に制定されたローマ法大全には「海は自然法によって万人の共有物であり、空気と同様に海の使用は万人に自由に開かれている」と書かれていますが、この海洋自由の原則は西洋文明圏においてその後も引き継がれています。
一方、アジアでは入浜権(入会権)などの慣習によって地先の海の漁業資源を管理することも行われてましたが、平和的通商を行うための海上交通の自由についてはやはり古い時代から広く認められていました。ところが17世紀になって「国際法の父」と称されたフーゴ―・グロチウスが海洋自由の思想を理論化すると、残念ながらそれは1960年代に至るまで先進諸国による植民地獲得と経済的独占の正当化にも利用されるようになったのです。
その後、国連の海洋法会議を経て、海洋法は海洋自由だけでなく、沿岸国の権益を認めると共に、海洋管理の考え方を強く盛り込んだものに改正されました。(1994年に国際海洋法条約として発効、日本においては1996年同条約批准)。それによって現在ではほとんどの国が領海を領海基線から12海里、排他的経済水域を領海基線から200海里とすることに同意しています。従来公海は領海の外側と規定されていましたが、本条約によって「いずれの国の排他的経済水域、領海若しくは内水又はいずれの群島国の群島水域にも含まれない海洋のすべての部分」と定義され、その範囲は狭まりました。
また、領海が12海里とされたことから、国際海峡においてもその幅が24海里以内であれば中央線までが両対岸国の領海ということになりました。沿岸国は領海を航行する外国船の無害通航権を保障しますし、通過通航制度(国連海洋法条約において国際海峡を対象に定められた、船舶の自由通航を認める制度)にも従わねばなりません。しかし、外国船も領海内では沿岸国の法令、特に運送と航行に関する法令を遵守する義務がありますので、それは船舶の国際海峡航行にも大きな影響を与えるようになりました。