明和海運株式会社

60th anniversary

海運豆知識

第95回

喫茶店と保険

巨大ハリケーンの上陸や大きな海難事故(油流出・衝突・座礁)により、巨額な損害保険の支払いが話題になったときに、ロンドンの「ロイズ(Lloyd’s)」(またはロイド)という保険会社のことを耳にしたことがあると思います。
正確にはロイド保険組合というイギリス法人、あるいはそれを中心とするロンドンの保険市場そのものを指します。世界中の損害保険会社は支払額が巨額になったときのリスクを防ぐために再保険を掛けます。その保険市場のトップにあるのがロイズで、いわば世界中の損害保険の元締めともいうべき存在です。このロイズの発祥が実は喫茶店だというのです。
そもそも損害保険は海運から始まりました。シェイクスピアの「ヴェニスの商人」にあるように、帆船時代の海運は海難の危険と隣合わせの博打に近い商売でした。船体と貨物の巨額の損失に備える為、14世紀ごろのヴェニスで今の海上保険に近い仕組みが整えられたとされています。
1688年ごろ、エドワード・ロイド(Edward Lloyd)がロンドンの一角に喫茶店を開きます。イギリスと言えば紅茶を連想しますが、当時のロンドンではコーヒーが流行りでした。ロイド氏の店(Lloyd’s coffee House)には海運業者や保険業者がたむろし、ロイド氏が熱心に海運関係の情報を集めて提供したために店は繁盛、やがて店内が海運や保険の取引場所となりました。
ロイド氏は、手書きの船名表をつくり海事情報としてロイド・ニュースの発行や同氏の死後には世界最初の船級協会(ロイド船級協会)が発足されるなど、18世紀後半にはついに保険取引市場として王立取引場(Royal Exchange )にその場を移します。以後、現在のような巨大な組織へ発展しました。