明和海運株式会社

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海運豆知識

第94回

パイロットは船乗り?

船の世界でパイロットと言えば飛行機の操縦士ではなく、水先案内人(一般名称)のことを言います。
水先案内人とは、港や海峡などの操船の難しい場所において、地形や潮の流れなどの事情に詳しい人が船に乗り込んで船長を補佐して船を安全に導く制度であり、その人のことを言います。
日本では例えば東京湾、三河湾、大阪湾、備讃瀬戸、来島海峡、関門海峡などの10ケ所で強制的に水先案内人を乗せることが法律(水先法施行令)で決められており、一定サイズ以上の船はパイロットを乗せなければなりません。雨の日も、嵐で波が高くても小さなパイロットボートで出かけ、沖で入出港船に乗り移らなければ(あるいは下船する)なりません。共通語として英語が使われますが、その船の乗組員が必ずしも英語が堪能とは限らず、肉体的にも精神的にも苦労は絶えません。
日本ではかつて、
①船長として総トン数3,000トン以上の船舶に3年以上乗船した履歴。(外航船の船長経験が主)

②省令で定める一定期間以上、水先人になろうとする水先区において水先修業生として実務を取得したこと。
③国土交通大臣の行う水先人試験に合格したこと。
上記①~③の要件を具備しなければ水先人(法律用語)になれませんでした。
しかし、現在は日本人外航船員が減少している状況の中で、水先人の安定確保の見地から、制度が見直され船長経験を有しない若年者等でも養成課程を経て、試験に合格すれば水先人になることが可能となっております。
ところで、元来パイロットとは航海術に優れた人の呼び名で、かつては現代の航海士に相当する仕事をしていました。
当時の船長は管理責任者でしかなく、実際の航海の指示はパイロットが出していたので、現代の船長にも通じ尊敬される職業だったようです。江戸時代初期に徳川家康に外交顧問として仕えたイングランド人航海士、三浦按針(ウイリアム・アダムス)も、オランダ軍艦リーフデ号のパイロットでした。
なお、「按針(あんじん)」とは、天体測定や磁石などで船の針路を決め航海をつかさどる責任者、航海士にあたる意味から、その名称を与えられたようです。
飛行機の操縦士をパイロットと呼ぶのは、飛行機の用語が船から派生したことのひとつとして考えられているようです。