明和海運株式会社

60th anniversary

海運豆知識

第93回

船酔い対策

船酔いのせいで船に乗らないという人も多いのではないでしょうか?船の中で、酔わない場所というのはあるのでしょうか?
船酔いは、縦揺れ(ピッチング)のときに最もひどくなります。縦揺れ(ピッチング)と言われてもなかなかピンと来ませんが、例えるならばジェットコースター搭乗時の浮遊感に非常によく似ています。荒天中、あの感覚が繰り返し襲ってくるのです。
船酔いの原因は、耳の奥にある感覚器官と深く関係しているようです。耳の奥には回転運動を知覚する耳石器(じせきき)があります。耳石器で感知した加速運動と、ほかの知覚器官(例えば目)からの情報に食い違いが起こると、脳が混乱して気分が悪くなり、船酔いになるといわれています。
船酔いには、波の周期も関係しています。ある実験で、11mも上下する箱に被験者を入れ、運動加速度と周期を変えて様子を見たところ、6秒周期あたりで被験者の嘔吐率が最高となりました。これは波長(波の頂上から次の頂上までの距離)60m弱の波に相当し、やや海が荒れたときに最も起こりやすい波の周期であり、船がほかの乗り物に比べて酔いやすいのは、最も気分の悪くなりやすい周期で船が運動することが多いからであります。
では、船内で最も酔いにくい場所はどこでしょうか?船の前後方向の中央やや船尾寄りで嘔吐率が最も低かったという実験結果があります。この位置は、縦揺れ時に最も上下方向の運動の振幅が小さいからです。(逆に船首は振幅が大きく、船酔いがしやすい。横揺れに対しても同様に考えれば、左右の中央付近がベストと思われます。(筆者が航海訓練所練習船に乗船中、「船酔いが激しい時は船底の機関室に行け」と教官に教わったことがあります。)
この場合、船酔い率はどこでもかなり高くなるため、必ずしも安全な場所とはいえません。船酔いの軽減には、デッキで遠景を見ると良いと言われています。目からも「動いている」という情報が脳に届き、知覚の齟齬(そご)が解消されるためです。その他、慣れることも大切で、2~3日船上で揺られていると徐々に船の運動リズムを脳が予測できるようになり、船酔いは軽減します。