明和海運株式会社

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海運豆知識

第92回

船を構成する要素

船体(船殻)だけでは船になりません。船はいろいろなサブシステムから構成されています。船体(船殻)以外のサブシステムについてご紹介します。

①運航関係

操舵システム 舵を動かすシステムのことをいい、遠隔操舵・非常操舵の両方が含まれます。
揚錨・係船システム 錨や係船索を取扱い、船を岸壁若しくは桟橋に係船させるためのシステムです。揚錨機と錨は船首部に設置。係船機は船首尾部両方に設置されています。
救命・消火システム 消火システムは、火災警報(煙管式・熱源式)、消火器(粉末、泡)、CO2(二酸化炭素)等があり、救命システムは、船から脱出するための救命いかだ、自船の位置を知らせるレーダートランスポンダ及びE-PIRB等、海中転落者救助のための救命浮環、自己点火灯及び発煙信号等があります。
居住システム 乗組員が生活するために必要な居室、調理設備及び衛生設備(トイレ・風呂等含む)を指します。調理及び衛生設備は共同利用ですが、居室については各自個室を提供しています。なお、内航ケミカルタンカーでは499G/Tで6~7部屋、500~749G/Tで7~8部屋が用意されています。

②機関関係

推進システム 主機関やプロペラ、軸径装置、などの船を推進させるためのシステムです。
排水システム 荒天による倉庫・区画の海水浸入、バラスト及び機関室内のビルジ(油分15ppm以下であること)等は、ポンプまたは手動により船外に排出するシステムを装備しています。
また、ケミカルタンカーではカーゴタンク内洗浄後の洗浄水を排出する特別なポンプが装備されています。

③電気・電子関係

発電システム 船内で消費する電力を発電する設備で小型内航船では2台装備されています。また船舶によっては、停泊時のみに使用することのできる停泊用発電機を装備している船舶もあります。
航海・操船システム レーダー、コンパス、GPS、AIS、VHF等の航海計器、船の針路を変更するハンドル、速力調整ハンドルが船橋に装備され、これら設備を利用して航海がおこなわれております。
今後、航海・操船システムはIOT化が進み、近い将来自動操船システムが開発され、当直者の負担が大きく軽減されるかもしれません。

④その他

荷役システム 貨物を積み降ろししたり、貨物を船内に保管するための設備です。タンカー船の貨物は危険物であることから、カーゴタンク内に密閉した状態で保管します。
交通装置システム 船内の、あるいは船外への交通設備です。貨物船やタンカー船等では歩廊や階段、梯子程度ですが、旅客船ではエレベーターやエスカレーターが設けられていることもあります。

★ これらのサブシステムは、機械的なものや電気的なものだけではなく木工や内装工事の類も含まれています。船を設計するためには、船体やその構造に関係する流体地器楽、材料力学だけではなく、機械工学や電子工学、水力学、油圧機械、重電機器などに加え、積荷の物性に関連しての化学の知識や人間工学からインテリアデザインの類に至るまで、極めて多方面の知識が必要となります。
貨物船やタンカー船などではあまり要求されないかもしれませんが、客船などでは船体の外観を優美なものにしなければならず、芸術的な素養も要求されることがあります。また、巨大な構築物を契約の期限までに間違いなく作り上げるためには、プロジェクトマネジメントの能力も求められます。
このことは陸上建築における建築家に求められる能力と極めて似通っており、建築と造船はともに総合工学であると言われております。そのためなのかどうかは分かりませんが、英語で造船技術者のことをNaval Architect(ネーバル・アーキテクト)と言います。直訳すれば海事建築家ということになります。