明和海運株式会社

60th anniversary

海運豆知識

第91回

八点鐘(はってんしょう)

 少し前まで、船には「鐘(Ship’s Bell)が備えられていました。他船との衝突を避ける目的で霧の中で鳴らすためですが、元来は船内で時を知らせるのに使う時鐘(タイムベル)でした。現代の船では時鐘としても霧中信号としても使われなくなりました。さて、以下は古き良き時代の話です。
 船の中では4時間ごとに当直(ワッチ)交代します。そこで、当直の始まりを起点として30分後に1つ、1時間後に2つ、と30分ごとに1つずつ増やして鐘を鳴らしました。4時間後には8つ鳴らすことになります。これを「八点鐘」と呼び、当直者にとっては当直の終わりを知らせるうれしい鐘の音です。
 八点鐘は当直交代のときですから午前4時、午前8時、正午、午後4時、午後8時、深夜0時に鳴らされます。午後1時は正午から1時間後ですから2点、午後3時半なら7点の鐘が鳴らされるというわけです。ところが、午後6時半はこの計算でいくと5点鐘が鳴るはずなのですが、実は1点しか鳴らしません。午後7時は2点、午後7時半は3点鳴らしていました。
 これには、「日没後は海坊主が出てくる時間帯なので、船が襲われないように叩き方を変えて海坊主をだました」とか、「英国軍艦で夕方5点鍾を合図に反乱を起こす企てがあったのを、当直者の機転で叩き方を変えて切り抜けた」のが始まりだとか、本当のようなウソの解説があります。
 事実は、大型近代船における当直は3班で交代しておりますが、帆船時代には2班で当直交代をしていました。そこで2つの班の夕食の時間帯が公平になるように、午後4時から午後8時の4時間だけは2時間で交代しました。こうすると1日おきに当直時間帯が入れ替わることになるからです。これを「ドック・ワッチ(折半直)」と呼び、ここだけは2時間のサイクルで時鐘を鳴らしたのです。この時間帯にしたのは、1日で最も大事な夕食時間が皆に公平に与えるためであったのではといわれております。