明和海運株式会社

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海運豆知識

第88回

舵で船の向きが変わるのは

1.舵が働く原理

船舶の舵も揚力を利用した装置です。船舶では、舵を動かすと、水流に対して舵板が迎え角を持つので揚力が発生し、これが船の向きを変える力になるのです。
飛行機の翼も迎え角が大きくなりすぎると失速減少が起きて、揚力が急に減少するのと同じく船舶の舵もあまり大きな角度を取ると失速して舵が発生させる力がかえって減少します。そのため、通常の船では最大で35度強までしか舵が回らないようになっています。(舵角調整スイッチは船橋にあって35°か60°若しくは70°(船舶により仕様が異なる)を選択することが出来ます。通常航海中は35°で設定し、入出港のみ60°若しくは70°を選択します)
舵の前進速度(舵に流れ込む水流の速度)が大きくなれば、舵が発生させる揚力も大きくなります。プロペラの後ろは、船体が前進する速度に加えてプロペラによって加速された流れも加わります。そのため、プロペラの直後に舵を取り付けると舵の力が大きくなります。これが、舵を船尾に取り付ける大きな理由です。これは前進回転しているときのことであって、プロペラを後進にすると舵に流れ込む水流が遅くなるだけでなく乱れるので、舵効きが極端に悪くなります。

2.行き脚が無いと舵は効かない

船が停止していると、舵には水が流れ込まないので(船の前進速度ゼロ)舵を動かしても船は方向を変えることはできません。実際、速度が数ノット以下では舵が効かないので操船不可能となります。そのため、操船者は前進速力が一定以下になること(舵が効かなくなることを行き脚を無くすといいます)を極力避けます。

3.いろいろな形式の舵

ベッカー舵(ラダー)、シリング舵(ラダー)は、揚力を増すとともに失速を遅らせることを狙った舵です。どちらも効きが良く大きく舵をとっても失速しません。また低速時には最大70度前後まで舵を取って、着岸の操船を容易にすることができます。また、低速時には70度前後まで舵を取って、着岸の操船を容易にすることができます。

①ベッカーラダー

港への出入りが多い内航船では、港内での操作性を重視して、舵板の後端部に「フラップ」と呼ばれる可動できる板を取り付けているものが多い。フラップが最大70度程度まで舵角をとれるので、舵の利きが良くなり狭い港での操船が楽になります。フラップは一般に、主舵面の舵角の2倍まで動くようにできています。

②「シリング・ラダー」

特殊な形状の舵板の上下端に整流板が取り付けてあり、舵に当ったスクリューからの水流を逃さずに偏向することができます。最大で70度まで舵角がつけられるので、最大角度ではほとんど前進力は失われ船尾は横の移動も可能で、バウ・スラスターがあれば船を横移動やその場での旋回も出来ます。