明和海運株式会社

60th anniversary

クローズアップ明和

第69回

石油化学製品のイロハ

石油化学製品は、もともとは石油や天然ガスから幾重もの生産工程を経て、自動車の部品や、衣服の生地、薬品やお惣菜のトレーなど私たちの生活に必要な最終製品へと姿を変えていきます。
このシリーズではそのような石油化学製品について、コテコテの文系頭の筆者が難しい化学式や計算式などは省いて、分かる範囲で少しだけご紹介していきます。

第6回MMA(プラスティックの女王)

今回はMMA(エムエムエー)をご紹介いたします。MMAはメチルメタクリレートの略で正式にはメタクリル酸メチルと言いますが、当社ではシンプルにMMAと略号で呼んでいます。

MMAは「石油化学製品のご先祖様」であるナフサを分解してエチレン、プロピレンなどと併産されるBB(ブタン・ブタジエン)留分から製造されるTBA(ターシャリーブチルアルコール)を主原料として、更に酸化やエステル化など、さまざまな工程を経て製造される無色透明の液体です。
(注)この他にもACH(アセトンシアンヒドリン)法など他の原料を使用する製法もあります。
このMMAを原料として製造されるアクリル樹脂は非常に透明度が高く、また着色が容易で美しい仕上がりになるので、自動車のウィンカーやテールライトのカバー、ファミレスやコンビニなど各種店舗の電飾看板などに広く使用されています。

  • MMA

また身近なところでは人工大理石の原料としても使用されています。
以前は家庭のキッチンの天板(てんいた)はステンレス製のものが主流でしたが、最近はデザイン性を重視した人工大理石製のキッチン天板が増えているようです。
※天板とはキッチンや洗面所の流し台やコンロ以外の作業スペースのことです。
ちなみに拙宅のキッチンと洗面台の天板も人工大理石製です。

また、普段何気なく歩いていた東京駅などの新幹線のプラットホームの床の化粧タイルにも、実はMMAが使われているのだそうです。
いつもは、自分の乗る列車は何番目とか、自分の乗る号車はどこに並べば良いのかなど、上部の表示板ばかり見ながら歩いているのですが、普段は気にも留めない足元にもMMAはしっかり活用されているのです。

そんな様々なMMAの用途の中でも筆者が最も意外に思ったのは、水槽に使用されているという事でした。
前述のようにMMAでつくられたアクリル樹脂は透明度が高いので、水族館などの巨大な水槽で中の生物を見やすく展示するという点では最適な素材なのです。
(注)ガラスには厚くなればなるほど緑がかった色になる特性があるため透明度が劣るという欠点があります。

また、ガラス製の水槽では難しかった曲面加工が、樹脂製に変えたことで比較的容易になり、まるで水の中を歩いているような感覚で頭上にイルカなどの水中生物が泳いでいる姿を真下からも鑑賞出来るトンネル状の通路を持つ水槽も作ることが出来るようになりました。
さらに、ガラスに比べて耐圧性が非常に強いので、以前に比べてはるかに多量の水を蓄えて、強い水圧がかかる大きな水槽も作ることが出来るようになったのです。

  • いるか画像提供 のとじま水族館
    ※画像はイメージです

筆者が小学生の頃には教室の後ろの棚の上に小さなガラス製の水槽があって、金魚やタニシなどが飼育されていました。
ですから大人になった後にも、「水槽はガラス」という先入観を持っていたのですが、ドロドロの原油からガラスのような透明な水槽が出来ているなんて夢にも思っていませんでした。
石油化学工業の技術の進化には全く驚かされるばかりです。

透明度が高く仕上りの美しいMMA製のアクリル樹脂はまさに「プラスティックの女王」と呼ばれるにふさわしい高級素材です。
そして、明和海運がその原料を運ばせていただいているという事を僭越ながら筆者も少し誇りに感じています。