明和船団オーナーズ

Vol.5 甲子汽船有限会社 代表取締役 川橋 利明さん

【会社概要】

会社名
: 甲子汽船有限会社
所在地
: 岡山県備前市日生町寒河2,474-8
社 長
: 代表取締役 川橋 利明
所有船舶
: 法竜丸(ほうりゅうまる)

~オーナーへの道~

昔(27歳)今(49歳)

私が小さかった頃、父は日生町の色々なオーナーのところで雇われ船員として船に乗っていました。私が小学4年生(1973年)の時に父が独立し、その時初めて購入した船の名前が「甲子丸」(こうしまる)で、会社の屋号はそこからとってきました。199トンの平水船で、瀬戸内管内で鋼材を運んでいました。

最初は個人で経営していたのですが、私が高校3年生(1981年)の時に法人化して会社組織になりました。しばらくは貨物船だけを運航していたのですが、平成に入って塩酸船を買ってケミカルの運航を始め、その後信用金庫からの紹介で明和海運との仕事が始まりました。
私が子供の頃、この町では父親が船に乗っていたら息子も船乗りになるという流れがまだ残っていて、そういう環境で育ってきましたので、いつかは船に乗るという気持ちがあったと思います。実際、小さい頃から、父にくっついてよく船に乗らせてもらっていました。父の独立後は、夏休みになると船に乗って、その中をうろうろしていたものです。そうしている内に、小学校5~6年生になる頃には、ある程度の仕事の手伝いができるようになっていました。中学生になると、体もそこそこ出来てきたので、手伝える仕事が増えていき、周りからも若いのによくできるとか言われると、何気にそれを嬉しく思い、どんどん仕事を覚えていくようになりました。そして、次第にこういう仕事をするのも悪くないなと考えるようになり、私が父の仕事を継げば、母も喜ぶだろうし、周囲の勧めもあったので、何の迷いもなく高校を卒業してすぐに船に乗ることを決めました。
当時、199トンの船は2名定員でしたので、父と二人で船に乗り一緒に仕事をしていました。6時間交代でWATCHをしていましたので、寝る暇もなくハードな仕事でしたが、そういう中で、父の背中を見て仕事を覚えていきました。私が23歳の時に結婚してからは、妻が経理を手伝い、父も仕事を任せてくれたので、早い内から、実質的な会社経営を妻と二人でさせてもらっていたと思います。
母が他界した翌年に、父は67歳で他界し、今年で13回忌になります。父の他界後、私が37歳の時に会社を引き継ぎ社長なりました。その時は、すでに跡を継ぐという心構えはありました。私も18年間船に乗っていたので、船や陸上のことは結構分かっていましたし、早い内から妻と二人で会社経営に携わっていたので、社長になってから大きく仕事内容が変わったということはありませんでした。ただ、2年前に妻が他界し、二人三脚で商売をしてきた片輪を失ったことで、経理も含めてほとんど全ての仕事を自分一人ですることになりました。当初は、改めて妻の存在の大きさを感じ、随分苦労もしましたが、今は何とか曲がりなりにも経理の仕事もこなせるようになっています。

~大切にしていること~

母が亡くなり、父が亡くなり、そして妻も亡くなり、そうなっていくと、欲というものがなくなってきていると感じています。 商売を大きくしようとか、人より稼いでやろうとか、そういう欲がなくなってきて、皆が良ければいいじゃないか、と思うようになってきました。
一人だけで生きているんじゃない。世の中、独り勝ちができなくなっていて、皆と協力して行かないといけない。一人では全部を面倒見きれなくなってきているのではないでしょうか。

私は、背伸びせず、自分に正直に生きていきたいと考えています。
船の安全面については、整備は自分が出て行って、この目で見て、確かめてから実施するようにしています。また、船員教育については、船員はマンニング会社からの供給ですが、指導するのは私だという考え方でずっとやってきています。
訪船時に、船員を見て、その人たちがどんな気持ちでいるか、今の状態を見抜く目を養わなければならないと、ずっと以前から考えてますし、そのインスピレーションを大切にしています。

~オーナーってどんな人?~

会社員(息子)である私からの川橋利明社長(親父)はどの様に映っているか、ここに簡単にご紹介いたします。
川橋利明社長の人物像は私から見て自由奔放なイメージがあります。
自由奔放と言っていい加減な性格ではなく、マイペースな部分と、社長としての断固たる決断力を両立していると思います。
例えば、社長の自由奔放な部分で人と上手く付き合うことができ、各方面に友人、知人がいます。

決断力の部分で言いますと、自身の判断基準でぶれることなく決断します。とは言っても、 他の意見を聞かないのではなく、自由奔放な部分で収集した情報を生かし、時代に合った決断を下します。
私から言いますと、冗談なのか、本気なのか、つかみ所のない親父です。

~オーナーさんのとっておき!~

我が家のバルコニーから観る「ひなせみなとまつり花火大会」はとっておきのイベントです!

日生の夏の一大イベント。毎年8月13日に開催される「ひなせみなとまつり」の花火大会は、打上・仕掛・水中花火約2,300発。海上から打ち上げられる花火を自宅のバルコニーから間近で観ることができるので、見応えも十分で、毎年、家族や仲間達と盛り上がります。

周辺が山に囲まれていて、音響効果もバツグンです。 次々に打ち上げられる花火は、水面や海上に浮かぶ島々を照らし、周囲を幻想的な雰囲気に包み込み、真夏の夜の感動を盛り上げます。フィナーレには、県下でも珍しい水中花火が鮮やかな彩りを添え、観客を魅了します。
夏の日生に欠かせない、「ひなせみなとまつり花火大会」はとっておきのイベントです!