乗船研修レポート

第4回

乗船研修レポート 「Vol.4 船内設備保守・下船(最終回)」

明和海運では、陸上社員の入社後研修の一環として、1~2週間程度の乗船研修を実施しています。海上業務や船舶環境への理解を深め、海上社員と陸上社員の円滑なコミュニケーションの実現を図る上で、新入社員教育の中でも重要な研修と位置付けています。
今回は、平成23年7月に入社した永田部員が経験した乗船研修のレポートを4回に分けてご紹介します。

 
【乗船研修者】 ・所属:営業部 ・氏名:永田 雅也乗船前 乗船中Vol.1 乗船・バンカーVol.2 潮岬Vol.3 瀬戸大橋Vol.4 船内設備保守・下船

~船内設備保守・下船~

これまで、海上給油作業・潮岬・瀬戸大橋と、船舶を取巻く周辺環境をご紹介させて頂きました。今回は、船舶そのものに着目してみようと思います。
船舶は、鉄の塊ではありますが、大変デリケートな存在でもあります。ベテラン乗組員の方々からは、『女性の様に、大切に扱わなければいけない。』との話をよく聞きます。
その「大切に扱う」第一歩である、船内設備保守作業を、今回ご紹介したいと思います。船内設備といっても、さまざまな設備があります。今回は、船内エアコンの保守作業をご紹介したいと思います。

こちらが、今回保守作業を行ったエアコンです。
家庭用エアコンを各部屋に設置している船舶もありますが、今回乗船した明芳丸は、集中式エアコンです。
本体は結構大きいです。
高さは、私の身長より高いです。

エアコンのどこを整備したのかというと、エアコン心臓部である、冷却用海水配管の掃除を行いました。これは、エアコン内部のフロンガスを冷却する為の、海水・フロンガス熱交換器の細かな配管にあたります。

(写真中央部)蜂の巣のような部分が、今回清掃した配管です。

本体左側面になります。
何だか周りにボルトがたくさんありますよね。
エアコンの保守作業を行えるように、予め船内の壁に細工がしてあります。
壁の一部をボルトで固定し、取り外しが可能な仕組みになっています。

細長いブラシを使用して、配管内部を清掃します。海水が通る配管は、水アカ・錆・フジツボなどでとても汚れておりました。ブラシにて清掃すると、汚れが流れ出てきました。一年に一回、配管内部を清掃しています。

こちらの配管は、先程のエアコン本体へ海水を送る配管です。海水が通る配管は、どこの配管も同じように、内部が水アカ・錆・フジツボ等でとても汚れております。 さらに、錆によって配管自体が劣化してしまうので、研磨後、このように金属パテで補修を行います。

(小さな配管ですが、結構重たかったです!!)

写真上で、灰色に見える部分が金属パテです。
錆により痛んだ配管を、サンダーにて磨いた後に、金属パテにて補修肉盛り加工をしております。
乾燥までは、約1時間です。

海水が通る配管には、各部に亜鉛が取り付けられており、内部の錆を防止しておりました。今回は、清掃後の組み立て時に、亜鉛も新品に交換しました。
私自身、海水が通る配管の内部を見たのは初めてです。とても驚きました。フジツボが張り付いているのを見た時、手入れの重要さを、あらためて実感しました。

(フジツボを除去し、綺麗になりました!!)

配管内部に付着した、フジツボをブラシで除去!!
水アカ・錆も綺麗に除去し、これでまた使用可能になりました。
ブラシで配管内をゴシゴシ清掃する作業は、なかなか大変な作業でした。

波で揺れる船内にて、日々、船舶の保守作業を行う乗組員のみなさんの苦労はとても大きいと感じました。

~野口機関長のお話~
機械は必ず壊れるとのお話でした。しかし、手入れを行うことにより、消耗するスピードを遅くすることが出来るとのことでした。

機械物に関して知識の無い私ですが、野口機関長のお話を伺い、扱い方次第で、大きく寿命が変わってくることを学ぶことができました。
今回乗船した明芳丸です。

17歳という船年齢を考えると、とても手入れの行き届いた船であると感じました。

1995年就航の本船は17歳。乗組員の方々の日々の努力の結果、17年もの月日を感じさせない程、綺麗な状態で運航されています。

~まとめ~
今回の乗船研修を通じて、自身の知識不足を痛感すると同時に、海上の状況を、もっと知りたいと感じる様になりました。今後とも、海上職員の方々、諸先輩方から、知識や経験を吸収し、判断力を磨きたいと感じました。これからも、自身のモチベーションを高め、自分自身を磨いていきたいです。